熱帯農業生態学

研究室の特徴

熱帯農業生態学を志望する学生・院生のみなさまへ


熱帯農業生態学(熱農)研究室はきわめてユニークな研究室です

 

自主性を尊重します

熱農では、様々な視点から熱帯の農業にかかわる研究を行っています。熱帯農業を生態学的にとらえてもかまいませんし、熱帯における農業生態学と考えてもかまいません。そこには、農学、作物学、園芸学、生理学、気象学、生態学といった、様々な視点があり得ます。熱農は比較的新しい分野です。既存の領域にとらわれることなく全く新しいアプローチで研究を進めることができるという利点があります。これまで誰も気がつかなかった新しい方法論というのは全く別の分野からやってきた若い研究者によって見いだされることはしばしばあることです。熱農では、熱農でしか試すことのできない新しい発想を持った若い学生・院生を歓迎します。熱帯農業生態にかかわる研究であればどのような研究を行ってもらってもかまいません。当然、自ら研究を押し進めるという気力と自主性が強く求められます。新しい分野で自分の可能性を試す最高のフィールドが用意されています。熱農はきわめて自由ですが、その分きわめて厳しい研究室です。

 

熱帯農業生態を理解するには何を理解すればよいでしょうか

熱帯の農業において問題となるのはまずその環境です。高温・強光・乾燥…様々な熱帯環境が作物生産を困難にしています。こうした環境ストレスに対して熱帯で栽培される植物がどのように反応するか、その生理反応を理解することは、熱帯農業の生産性を高める上で避けることができません。乾燥地にも生育するといわれる植物は実際どのくらい水があればいいのか、その耐乾性はほかの作物に比べてどの程度なのか。あるいは洪水が発生したときどう反応するのか。こうした基礎的知識は、多くの熱帯作物について、それが重要な作物であるにもかかわらず、あまりにも不十分です。これらを明らかにするため、熱帯作物を用いた生理実験をおこなっています。現在、我々がもっとも注目しているのは作物による水利用です。熱帯地域で想定される様々な土壌水分条件下で、植物の根や葉がどのように機能しているのかを探っています。

熱帯農業を規定する要因には様々な環境条件が複雑に絡み合っています。土壌や気温や降水量などの農業資源がどの程度あり、それを有効に活用すればどの程度の生産量を維持することができるのかを評価することは、農業の持続的発展を支える重要な情報となります。熱農では、このような農業資源を正確に評価するため、実際の栽培試験によって得られたデータと環境条件から農作物の収量を予測するモデルを作成する研究を行っています。土地利用や農業技術・土着の知識なども農業資源と考えることができます。こうした農業資源がどのように利用されているのかを理解することから研究を行っている地域もあります。

 

海外で研究ができますか/日本で研究ができますか?

熱帯で実験・現地調査をおこなう場合には、ある程度の期間現地に滞在する必要があります。現在、海外で実験あるいは調査をおこなっている学部学生はいませんが、院生では、タイ3名、ラオス2名、ベトナム2名、タンザニア1名、カメルーン1名がいます。これら以外の地域を対象とした研究を行うことは全く差し障りありません。また、特定の地域を対象としなければならないという制約はありません。さらに、海外でしか研究を行うことができないということもありません。日本にいても研究を進めることはできます。日本でおこなった研究成果が熱帯農業に貢献できる余地は十分にあります。実験を中心とした研究を進めようとする場合には、研究環境が整っている日本でまず十分に能力を身につける方が有利かも知れません。

 

どのような知識が必要ですか

特定の分野の知識が必要ということはありません。しかし、何か得意分野はあった方がいいでしょう。どのような分野でもかまいません。そこから研究を発展させることができると思います。外国語の能力は重視しています。海外で研究を行う場合には、努力次第ですぐに現地語の能力は身に付きます。体力は必要です。

 

卒業・修了生の就職先

熱農を卒業・修了した学生・院生の多くは、ここで得た知識や経験を生かした教育・研究分野または国際協力に関する職業に就いています。次に多いのは、食品・医薬品を扱う製造業や商社などの民間企業です。研究室が就職先を斡旋することは全くおこなっていません。

 

入学希望の方は直接研究室を訪ねるのがよいと思います

どの大学、研究室を目指す場合でもそう思いますが、自分の人生の重要な一時期を過ごすことになる大学(院)選びですから、直接自分で訪ねて、会って、話を聞いて判断するのが一番です。Webサイトを見て得た印象と、実際入学して感じた印象とが違っていたでは、取り返しがつきませんから。会って話をしてみて、その結果、ここじゃないと思ったとしても、それは大きな収穫です。また、別の大学や研究室に関する情報が得られるかもしれませんし、新たな自分を「再発見」することにつながるかもしれません。もちろん、ますます気に入ったとなれば、受験勉強にも力が入ることでしょう。どこを受験されるにせよ、事前に研究室を訪問して得しないことはあり得ません。入学希望社の研究室訪問・見学を強くおすすめしますし、歓迎します。(むちゃくちゃ忙しいときは、時期をずらしていただくくらいのことはお願いするかもしれませんが、その程度はご容赦ください) 下記アドレスまでご連絡ください。

 

 

現在行われている研究内容についての詳細は教官・学生の紹介ページからご覧ください。

連絡先:樋口浩和 [higuchikais.kyoto-u.ac.jp  ←の@は画像です。ご注意ください。]


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