タイトル:
ラオス北部ウドムサイ県の焼畑休閑林における植生変化

内容:
ラオス北部では、90%以上が山がちな地形で占められており、低地部に居住していない民族は焼畑を営んでいる。焼畑サイクルにおける伐採の対象である森林は、遷移が進めばブナ科、クスノキ科の樹種で占められ、東南アジア大陸部からチベット高原へとつながるいわゆる照葉樹林帯の一部を形成している。近年、ラオスの森林面積は0.3%の割合で減少しているといわれており、その原因の一つとして人口増加を背景にした焼畑が挙げられている。さらに、森林面積の減少だけでなく、森林の種構成の変化も危惧される。発表者はこれまでラオス北部ウドムサイ県において、焼畑休閑林の植生を調査してきた。発表では、焼畑を行うことによって、休閑林における種構成がどのようなもので、それらがどのような仕組みで変化してきたのか、変化していくのか、そして焼畑をやめても森は元どおりになるのか、について考えてみたい。またこれに合わせて、長期の調査によって見ることのできた調査地の焼畑の様子や暮らしをスライドを交えて紹介したい。