私は、地球研が行っている生態史プロジェクトの一環として2003年から2006年まで、ラオス北部ウドムサイ県で断続的に調査をしてきた。
ラオス北部は、9割以上が山地部で残りは山間盆地であり、その地域に居住する多様な民族は、山地部では焼畑、盆地では水田を営んで生活している。彼らは自然に依存した生活を行っているが、それゆえ自然生態系の構造やメカニズムの変化は、人々の生活に直接的な影響を与えている。
プロジェクトは、森林や農業に生活基盤を置く人々の生活を中心にすえて、それを構成する生態、経済、社会・文化の動態を描き、それらの総体としての地域生態史の構築をめざしているが、その中で私は、焼畑休閑林の動態を明らかにすることを対象としている。
今回の発表では、これまで得られたデータの分析結果と、その結果がどのようにこの地域の生態史理解に関わってくるのかについて発表したい。
広田