タイトル
「東南アジア大陸部の焼畑と村落の変容」
要旨
焼畑は、東南アジア大陸山地部では長い間、主要な農業生産の手段であり、人々の生活とも密着していた。一部地域を除いて、かつてほとんどは休閑期間が数十年で、伐採できる森林面積にも制限はなかった。
しかし、1960−1970年代のベトナム戦争に代表される社会主義勢力の台頭や、それに伴う体制の変化、また、1980年代における各国の市場経済化、土地法、森林法の施行など、この30年ほどの間に、社会の枠組みが大きく変化してきた。
これらの社会的枠組みの変化に加え人口増加という内的要因も重なり、山地部における主要な農業形態である焼畑も、休閑期間の減少による常畑化、商品作物の栽培化など、形を大きく変えてきた。
本発表では、東南アジア大陸部の諸地域(タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオス、雲南)のここ30年の社会変化を概説した後、各国の事例に触れながら、焼畑と焼畑を行っている村落の変容について述べたい。