タイトル
「ラオス北部焼畑休閑林に生育するタケ4種の地上部バイオマス推定式と、
アジア諸地域に生育するタケとの比較」
要旨
ラオス北部山地部においては焼畑が広く行われており、山地斜面の多くは
焼畑休閑林となっている。焼畑休閑林には、人為的撹乱の元で生育しやす
いタケや先駆種が多く存在しているが、特にタケは、この地域では焼畑休
閑林の優占種となっている。また、タケや先駆種以外にも、焼畑休閑林に
は有用植物が数多く存在しており、これらは村人の現金収入源として非常
に重要である。
ところが近年、人口増加、市場経済の浸透、森林法の適用などの影響に
より、休閑期間が短縮してきた。休閑期間の短縮は、焼畑休閑林の種構成
に直接的に影響を与えると考えられ、村人の森林産物採取の場である休閑
林が変化することで、村の経済に少なからず影響を与えると思われる。
焼畑休閑林の優占種であるタケは、森林産物としては有用である一方
で、タケが繁茂することによって他の植物を圧迫し、多様性の低下を引き
起こしている可能性が懸念される。ラオス北部において、タケの現存量な
らびに、焼畑サイクルにおけるタケのダイナミクスを知ることは、これか
らの持続的な自然資源利用を考える上で非常に重要であるが、これに関す
る研究は全く行われていない。
本研究では、タケの現存量やダイナミクスを知る一環として、タケのバ
イオマス推定式の算出を行った。また、この地域のタケの生育に関する性
質をより深く理解するため、アジアの他の地域に生育するタケの推定式と
の比較を行った。
広田