要旨
ラオス北部山地部における森林景観は、焼畑休閑林が大部分を占
めている。ここに生育する多くの動植物は村の生活を支える現金
収入源として重要であり、焼畑休閑林が、陸稲が不作だったとき
のセーフティネットとして働いていることが指摘されている。し
かし一方で、焼畑村には面積としてはわずかであるが、山地斜面
の谷の部分には水辺林が存在している。これらの水辺林は、これ
まで焼畑ができない土地として残されてきたり、地方の規制によ
り水源涵養林として残されてきたという経緯がある。本発表で
は、焼畑休閑林と比較することにより、このようにして村に残さ
れてきた水辺林が、村にとってどのような意味があるのかを考え
てみたい。