熱帯農業生態学

研究室の概要


 

熱帯農業生態学研究室では、熱帯における、人と作物およびそれを取り巻く自然環境のさまざまなかかわりあいに焦点をあて、さまざまなアプローチで研究をおこなっています。メンバーそれぞれの研究分野・テーマは多岐にわたりますが、大きく次の4つに分けることができます。


1)熱帯の農業資源の評価
   農業資源を利用するには、まず対象とする地域にどのような資源がどのくらいあるかを知ることが必要です。現在、タイの畑作地帯において、栽培環境をモニタリングし、耕地の土壌に含まれる水の量(水資源)や作物の生育が季節的にどう変化するかを調べています。ベトナムでは土地利用(土地資源)及び農業技術に関する調査を、アフリカでは土壌肥沃度の研究を実施しています。資源利用を阻害する要因の研究もこの中に入ります。


2)環境に対する熱帯作物の生理・生態反応
   熱帯には温帯では見られない様々な環境ストレスがあります。環境ストレスに対して作物がどのような生理・生態反応を示すかを理解することは熱帯農業の理解に不可欠です。たとえば、乾燥地や乾季では土壌中の水は極端に少なくなり作物は水ストレスを受けます。少ない水でも作物を効率良く生育させる方法を見出すため、土壌−植物体の水の流れや、耐乾性の機構を研究しています。このような研究は測定技術の発達により大きく進歩するので、根や茎の水流量測定センサーなど測定法の改良・開発にも取り組んでいます。


3)生育・生産力のモデル化
   対象地域の気候条件、土壌条件のもとでどのくらい食糧が生産できるか、また気象災害が起こった場合どの程度減収するか、混作など作物や果樹の組み合わせや植え方の違いによって、水・光の利用効率や生育はどうなるかなどを評価するため、圃場実験をしながらシミュレーションモデルの開発に取り組んでいます。


4)熱帯作物の利用と分布、伝播
   おもに熱帯アジアを対象とした民族植物学的研究です。栽培植物の在来品種・系統の地理的分布の特性を、形態学的・生化学的・遺伝学的に調べています。また、その栽培・利用に関する調査・分析もおこなっています。

 

 

 

 

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