「ラオス北部一農村の現状と調査計画」
内容
ラオスでは1980年代後半から、高地民を低地へ移住させる、「移住化・集住化政策」と、森林保護と焼畑の制限を主な目的とした「土地・林野配分政策」が実施されている。ラオス北部ルアンパバーン県に位置する調査村も、そのような背景でできた比較的新しい村である。3民族の集住するこの村には水田がなく、ほぼ全世帯が焼畑を主として生活をしている。
2010年1・2月におこなった調査では、焼畑や家畜飼育など生業に関することを中心とした聞き取り、および焼畑のための伐採作業に同行し、作業の様子や焼畑周辺の自然環境の観察をおこなった。
その結果、調査村における焼畑農耕には、生態学的な側面以外にも様々な問題点があるのがわかった。それは、土地の所有にかんすることや土地不足、斜面による耕作の難しさ、生産の不安定さ、行政側との方針のずれなどである。そのような問題を受けて、村人は様々な方法を試しており、前回の調査では焼畑耕作の全体像をつかむのは困難だった。また、生態学的視点のみでは、焼畑の問題を考えるのに不十分だと感じた。
そこで次回の調査では、作付調査および、村人の仕事にできるだけ同行して、その行動・言動の観察と記録をし、調査村における焼畑の現状の把握と、焼畑に関する人々の意識・行動の理解をめざしたいと考えている。