ラオスにおける焼畑を中心とした営農体系の現状
〜北部山地の新規集住村を事例として〜
ラオスではおよそ8割の人々が農業により生計を営んでおり、山岳地帯である北部では焼畑耕作が主な生産手段のひとつとなっている。またラオスでは、森林保護と低地での重点的な開発を目的とした移住政策が1990年代半ばから実施されている。北部山地でも山間部の村の多くが川沿いの低地や幹線道路沿いに移住してきている。村によっては、複数の民族が同一村内に暮らすようになっている場合もある。こういった状況の変化や人口増加などさまざまな要因で、ラオス北部における焼畑は変容過程にあると考えられる。
そこで、ラオス北部ルアンパバーン県に位置する、カム族・モン族の集住する比較的新しく移住してきた村を調査地とし、焼畑耕作やそれに関わる生業活動がどのような現状にあり、どのような要因がそこに影響を与えているのかを知るため、調査をおこなった。今回の調査は2010年5月下旬〜11月末に実施し、世帯ごとの焼畑の状況をGPSと聞き取りにより調査した。また比較として、上記の村の隣に位置する、30年以上その土地にあるカム族のみの村についても、同様の調査をおこなった。
今回の発表では、調査の報告をメインとして、調査地における焼畑を含む営農体系が、どのような要因・状況を中心として成り立っているのかについても考察できればと思っています。