温度と湿度がチェリモヤの着果に及ぼす影響 〜花粉管が胚嚢内に達するまでに要する時間への温度条件が及ぼす影響を調べる〜



チェリモヤの花は雌雄異熟の両性花で、日本における着果には人工受粉が不可欠となる。受粉を行う前後での生殖器官の稔性を知ることが重要であり、受粉後の着果率を向上させることで品質のよい果実生産が可能となる。そこで、受粉後に異なる温度条件と湿度条件に置かれた場合の着果率がどのように変化するのかを調べたい。


昨年度はその予備実験として、開花期の未受粉花と、受粉を行いその後温度処理のみを行った花の切片を作成して染色し顕微鏡で胚珠の観察を行った。


未受粉花については、雄性器官が粘性をもつ前後で胚珠におけるフェノール類等の存在を示す青色の自己蛍光の減少が観察された。これに関して本年度は、さらに採取期間を広げて観察を行い、また開花期の子房からフェノール類を抽出し定量を行ってみようと考えている。


受粉花については、受粉後の温度条件を変えた場合の着果率を調べた昨年度の結果を報告する。また、本年度は受粉後に温度処理をした上で、数時間ごとに採取し、異なる温度条件においての花粉管が胚嚢内に達するまでに要する時間の変化を観察しようと考えている。


また、花の時期が終わったあと沖縄で小型の変温装置(昨年度用いたペルチェ効果を利用したもの)の製作法を学び、本年度後期に京都で装置を作成し、来年度行う予定である温度・湿度処理実験に備えようと考えている。