トウガラシの辛味成分

 多くの人がご存知のように,トウガラシの主な辛味成分はカプサイシン(capsaicin)です。ただし,カプサイシンというのはトウガラシの辛味成分カプサイシン類の1つに過ぎず,ほかにジヒドロカプサイシン(dihydrocapsaicin),ノルジヒドロカプサイシン(nordihydrocapsaicin),ホモカプサイシン(homocapsaicin),ホモジヒドロカプサイシン(homodihydrocapsaicin)など様々な辛味化合物が存在します。トウガラシの品種にもよりますが,カプサイシン,ジヒドロカプサイシンが辛味成分の80〜90%を占めるそうです。

■トウガラシの辛味成分カプサイシン類



カルボン酸部(CO-R) 辛味化合物の通称
8-methylnon-trans-6-enoic acid カプサイシン
8-methylnonanoic acid ジヒドロカプサイシン
7-methyloctanoic acid ノルジヒドロカプサイシン
9-methyldec-trans-7-enoic acid ホモカプサイシン
9-methyldecanoic acid ホモジヒドロカプサイシン

「トウガラシ 辛味の科学」を参考

 
 トウガラシの辛味成分がカプサイシン類だということはわかりましたが,それではどのようにして辛さを評価するのでしょうか?実は辛さには「スコヴィル単位(Scoville Unit)」というスケールがあります。名前の通りスコヴィル博士がこの測定方法を確立しました。測定原理は極めて単純で,人間の舌の感度を利用します。トウガラシの辛味成分カプサイシン類は親油性であるため,まずトウガラシをアルコールに漬けて辛味成分を抽出します。次に,この抽出液に甘みのついた水を一定の割合で加えていき,舌が辛味を認識できるかどうかのぎりぎりのところまで希釈していきます。例えば,日本の三鷹は50,000〜60,000倍の甘い水を加えてはじめて,舌で辛さを感じなくなります。つまり,スコヴィル単位でいうと「50,000〜60,000度」ということになります。ただし,栽培環境によって同じ品種でも辛さにばらつきがでます。高温や水不足などのストレスによって,果実に含まれるカプサイシン類の量が増えるそうです。

■様々な品種の辛さ

品種ソース名 スコヴィル単位
ピーマン,ベルペッパー 0
タバスコソース 2,500〜4,000
ハンガリアン・イエロー 4,000
タバスコ
(ソースではなくキダチトウガラシの品種)
30,000〜50,000
三鷹 50,000〜60,000
熊鷹 125,000〜150,000
ハバネーロ 300,000
カプサイシン自身の辛さ 15,000,000〜17,000,000

「トウガラシの文化誌」・「トウガラシ 辛味の科学」を参考



 現在では高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)という計測器でカプサイシンの量を正確に測定することができます。トウガラシを売買したり商品開発をしたりする際,正確な辛さの測定が必要となります。HPLCは非常に有効な手段といえるでしょう。しかし,たとえカプサイシンの量がわかったとしても,僕達にはそれがどれくらいの辛さか検討もつきません。スコヴィル単位の方がどれくらい辛いか想像しやすいですよね。ですから,現在でもスコヴィル単位が利用されています。



(Reference)
アーマル・ナージ著 林真理・奥田裕子・山本紀夫訳 「トウガラシの文化誌」 1997 晶文社 東京
岩井和夫・渡辺達夫編 「トウガラシ 辛味の科学」 2000 幸書房 東京




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