沖縄に古くからあるマンゴーの遺伝的多様性
わが国におけるマンゴー生産は需要とともに増加し、その大半は育成品種‘アーウィン’である。その主要な生産地沖縄県では、近代育成品種が導入される以前から、民家の庭先などでマンゴーの栽培がおこなわれていた。そのような古くからあるマンゴーが地域の人々によってどのように認識されているのかを理解するため、現在も生育するそのようなマンゴーを探索して形態などを記録し、遺伝的類縁関係を明らかにするとともに、呼称や利用関する聞き取りをおこなった。
その結果、沖縄に生育するマンゴーは近代育成品種よりも遺伝的多様性の高い集団であり、「在来マンゴー」と呼ばれ、市場のマンゴーとは区別して認識されていた。そして「在来マンゴー」の利用は、近代育成品種の導入以前からおこなわれ、地域に根づいていると思われた。