タイ東北部、ラオス北中部、ベトナム北西部で、野生Mangiferaの調査をおこないました。野生Mangiferaがそれぞれの地域ではどう認識され、利用されているのか調べることが目的でした。前回のセミナー発表のあとにおこなった6・7月の調査結果をあわせて、図表を使ってこれまでに得られた結果を紹介させていただきます。


 野生Mangiferaには地域ごとにいくつかの呼称が与えられていました。呼称の区別は樹の形態の違いにもとづいていました。樹形と葉の形態にもとづいて、調査した個体を大きく4タイプに分類することができました。各地には代表的な種類があり、タイではmuang paa(wild mango)やmuang kalon(kalon mango), ラオス中部ではmuang khai(egg mango)やmuang khan(itchy mango), muang kasoo(kasoo mango)、ラオス北部ではmuang khai(egg mango), muang kaeo noi(small glass mango), muang kasoo(kasoo mango)、ベトナムではmoiやmak chaiが地域の人々のあいだでよく知られている種類でした。このなかでラオス北中部のmuang kasooには特別な用途がありました。muang kasooはその樹皮が薬や染料として利用されたり、葉を食用にするには最適の種類だと言われていました。地域によって野生Mangiferaの用途は異なりましたが、muang kasooを除いて、種類によって用途が異なることはありませんでした。