ラオス中南部サワンナケート県西側の平野部にみられる、タイ系の人々プータイのホームガーデンは、平均面積200m2、世帯あたりの有用植物平均出現種数は40種近くあった。

サワンナケート県西部平野部は、土壌に栄養分が乏しく、塩類集積も多く見られる。また、降水量の年変動も大きく、洪水や干ばつが頻発する地域として知られている。そのため、水田でのコメの収量は十分でなく、今回の調査でも、多くの農家で、コメ収穫前の8月・9月にコメを購入していることがわかった。そして、この地域
でのホームガーデンの、世帯の中での位置づけは、「コメ不足に対して、それを購入する資金を捻出する場、つまり、ココヤシやタマリンド、ワタ、野菜など、換金性の高い植物種を栽培したり、水牛や牛、七面鳥など、非常時に売却することで、急場をしのぐ資金を入手できることが期待できる、家畜を飼養したりする場」として
、が大きいことが予想された。

一方、同県の東側の盆地部に位置するプータイのホームガーデンは、平均面積50m2以下、世帯あたりの有用植物出現数も20種に届いていなかった。その面積は極めて小さく、その中に大型の動物も飼養されていないことから、平野部のホームガーデンのように、急場をしのぐ資金源として位置づけることは、無理があると考えら
れた。そこで今回は、盆地部のホームガーデンが、稲作との関連、生態環境との関連でどのように位置づけられるかを考えてみたい。