今度のセミナーでは2004年から調査を始めたウルグル山塊東側斜面キボグワ村の調査結果の報告をします。発表のテーマを「地域の食事と農業との結びつきをタンザニアの一農村の事例から考える」にしたいと思っています。私は現在、タンザニアの中央部に位置するウルグル山塊で行われている農業の実態を地域を取り巻くあらゆる側面(生態環境、社会、経済、文化、歴史、価値観など)から捉えたいと思って研究を続けています。今回はキボグワ村で生活する農民の食事から農業を捉えるのを目標としています。
このテーマは元々私自身が思いついたわけではありませんでしたが、食事と農業との関係について自分自身でも考え始めてから、農村に暮らす農民は自らで糧を生産し消費しているわけだから、農民の食事からも地域の農業の本質が見えてくるのではないかと思い始め、現在、自分の考えを論文としてまとめています。セミナーでは、現在執筆中の論文の内容をできるだけ要点をまとめて発表したいと考えています。
農学は食料生産のための技術に関わる学問だという認識を持っています。その農学の中にあって、特定の地域の農業の実態を研究することは、農業の技術を利用する現場を知ること、あるいは逆に現場から技術を見つけ出すことにもつながると考えています。
実験をやっている人には直接関係するテーマではないかもしれませんが、現場を知るという意味でも一緒に考えていただければと思っています。よろしくお願いします。