東アフリカの赤道近くに位置するタンザニアは、1961年にイギリスから独立した社会
主義国家で、面積は日本の約3.5倍、人口約3000万人である。その中に、異なった言
語、文化をもつ120以上のエスニックグループの人々が暮らしている。発表者は、
2004年からタンザニアの中央部、モロゴロ州、モロゴロ県に位置するウルグル山塊の
東側斜面、キボグワ村において、地域の農業の実態を解明するための調査を行ってき
た。この山塊のほぼ全域にルグルと呼ばれる人々が山の斜面耕作を基本とした農業を
行っている。彼らは、約300年ほど前にタンザニアの各地から移住し、集まってき
て、母系を軸とした社会を形成したといわれており、その社会構造は、現在でも土地
の保有システムに大きく影響していると考えられる。今回のセミナーでは、2004年か
ら現在までの調査で明らかになってきた調査地域の農業の実態に関しての報告と、そ
れをふまえて、今年度の調査計画を発表する予定にしている。今年度は、村での土地
の保有システムの変容を明らかにすることと、現在の土地保有の村の農業にどのよう
に影響しているのかということを明らかにしていく調査を行い、結果をまとめていき
たいと考えている。アフリカの母系社会における土地の保有システムと農業との関わ
りという、この研究室の多くの人にとっては聞き慣れないテーマでの発表となると思
いますが、できるわけわかりやすく説明したいと思いますので、活発なご意見、ご指
摘をよろしくお願いします。