キダチトウガラシの形態的特徴(草姿・葉・茎)

〜形態的特徴〜

1. 花の器官 2. 果実 3. 草姿

3. 草姿・茎

3.1. 草姿(plant habit)

 東南アジア東アジアのC. frutescens の草姿は,開帳性〜立性に連続的に分布しており,どちらかに分類するのは無理でした。以下に開帳性立性の代表的な例を示しますが,それほど顕著ではありません。ただし,草高(palnt height)の低いものは分枝数が多くなり,草高の高いものは分枝数が少なくなる傾向が見られました。

■開帳性 ■立性


3.2. 葉
葉形

 C. frutescens の葉には独特の照りがあり,葉毛はほとんどありません(葉の裏に少しだけ白い毛があります)。花がつき果実がなり始めると葉は小さくなりますが,それ以前(栄養生長期)の葉では葉長(leaf length)が20cm近くになる系統もありました。C. frutescens の葉はC. annuum の葉と比べて幅が広いことが知られています。たとえ植物体に花や果実がついてなくても,慣れてくると葉の照りや広さからC. frutescens C. annuum の区別がつくようになります。
 それでは葉の広さをどう評価しましょう?葉長や葉幅(leaf width)は環境条件葉齢によって異なってきますが,葉形(leaf shape = leaf length / leaf width)は変わらないと考えました。測定してみると,C. frutescens の leaf shape ratio は1.50〜2.00,C. annuum は 2.50〜3.00+ に分布しました。やはりC. frutescens の方がC. annuum より葉の幅が広いのですね。C. annuum の他の形態的特徴データを見たい人は,See Kumazawa et al. (1954) or Hirose et al. (1957)。

C. frutescens

C. annuum の葉
■葉の大きさ(栄養生長期)
  (落葉寸前のため葉色が悪い)
■葉形(leaf length/leaf width)
  A:ratio 1.54(幅広型)
  B:ratio 2.00(中間型)
  C:ratio 2.98(細長型)
  (Cのみ
C. annuum

 
3.3. 胚軸色(hypocotyl color),茎色(stem color)

 胚軸とは「子葉以下に生ずる最初の茎的部分」のことです。C. frutescens の胚軸には紫色の沈着の有無がみられました。しかし,生長して植物体が大きくなると茎は全て緑色になりました。実際にはほんの少しだけ紫色がっかた部位をもつ系統もありますが,ほぼ緑といって過言はないでしょう。花柄の色も参考にしてください。

■胚軸色(A:紫色,B:緑色) ■茎色(全系統が緑色を呈す)



〜形態的特徴〜

1. 花の器官 2. 果実 3. 草姿・葉・茎


(Reference)
Hirose, T., Ukita, S. and Takashima, S. 1957. Studies on related species in Capsicum. The Scientific reports of the Saikyo University. Agriculture 9: 13-22.
Kumazawa, S. Ohara, T., and Niiuchi, K. 1954. The differentiation of varieties of peppers in Japan. Journal of the Japanese Society for Horticultural Science 23: 152-158.



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