調!?
台湾編南部(2)

〜いろんな地域のキダチトウガラシ〜
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サイパン
   

☆台湾南部2(パイワン)


屏東県春日郷旧七佳村
■俗名
パイワン:台東県太麻里郷、台東県金峰郷、台東県達仁郷
       kamangul, kamanguly (general or bigger one)
       likalik (small fruit type)
      台東県達仁郷、屏東県春日郷、屏東県獅子郷、屏東県牡丹郷
       kamangul, kamanguly (general or bigger one)
       kalyatiyang, galyatiyang (small fruit type)
       sili, sini
      屏東県獅子郷、屏東県牡丹郷
       kamangul, kamanguly, amanguly (general or bigger one)
       kulintaw, kulimataw (kulintaw: tumbling about) (small fruit type)
■特別な利用例:塩漬け・蒸留酒につける

 台湾島の南部に居住するパイワンが利用するキダチトウガラシを、台東県太麻里郷(太麻里)、台東県金峰郷(嘉蘭村、正興村、新興村)、台東県達仁郷(台坂村、土坂村、新化村、安朔村)、屏東県春日郷(士文村、旧七佳村)、屏東県牡丹郷(牡丹村、旭海村、東源村)、屏東県獅子郷(内文村、草埔村、伊丹村、丹路村、楓林村)で調べてきました。地域によってキダチトウガラシの呼び名が違っていておもしろかったです。結構あちこちに行くことができて楽しかった。特に屏東県春日郷旧七佳村は、集落までの道が途中から舗装されておらず、集落に着くと石で作った家屋があり、タイムスリップしたような感じでした。


・屏東県春日郷(パイワン(Paiwan))
 枋寮からタクシーで士文へ出発しました。山へ入るまでの道は、レンブとマンゴーの畑ばかり。窓を開けて乗車していましたが、マンゴーの花の匂いに混じって農薬の匂いが鼻を付く。山を少し登り始めます。運転手が言うには、この道は3、4年前まで舗装していなかったらしいです。士文に着くと、早速一番近い家にインタビューへ向かいました。その人の家にはキダチトウガラシはありませんでしたが、そのおじさんは枋山の林野局に勤めており、山でよくキダチトウガラシを見かけると言っていました。別れを告げ、村の中を隈なくくるくるまわっても、キダチトウガラシを栽培している家庭に出会いません。そこで、のんびりとおしゃべりしていたおじさんとおばさんにインタビュー。前のおじさんも言っていたが、この辺は昔キダチトウガラシをたくさん栽培していて、平地の人間に売っていたらしいです。最近ではキダチトウガラシの根が漢方としてよく使われるため、根ごとキダチトウガラシを山から引き抜いてく人々(平地の人も原住民も)もいるらしいです。

■士文村の風景1

■士文村の風景2

■パイワン男性(士文村) ■パイワン家族(士文村)



 「山にある山にある」と言われてもこの目で見ないと正確な情報ではないので、早速集落の上に位置する山(小高い丘?でも坂はかなり急)へ向かいました。汗をかきつつ林の周縁部に生えているかもしれないキダチトウガラシを探しました。はじめはなかなか見つかりませんでしたが、ふと見慣れた枝が草陰に見えます。立ち止まりゆっくりと観察してみると、やっぱりキダチトウガラシだ!あった!そこはほぼ垂直か?というような急な土手の上に生えていましたが、どうしても近くで見てみたいので、無理をしてなんとかよじ登りました。最近あまり雨が降っていないのか土は乾いており、キダチトウガラシも枯れかけていました。自生を確認できて興奮してきました。もっと上を見に行こう、と意気揚々と坂を登り、舗装されていない道を歩きます。50mくらいあがったところでまたキダチトウガラシの自生を発見。今度は赤い実が付いていました。また少し山を登ると、20mも歩かないうちにまたキダチトウガラシの自生を発見。やはりこの山にはキダチトウガラシの自生が多いようだ。もっと上までキダチトウガラシを探しに行きたかったのですが、これ以上ここで時間をかけてしまうと次の調査に影響を及ぼすのでやめました。山を下りタクシーへ乗り込むと、なぜか運転手がキダチトウガラシの一部を持っていました(赤い果実のついた枝の先っぽ)。ちょっと先へいった所にある家のおばさんからもらったのだそうだ。それならそこへ行こうとすると、そのおばさんは用事があってどっかへ行った、と運転手が言います。残念ですがあきらめて車を少し出すと、運転手がおもむろに車を止め、このおばちゃん、と言います。そのおばちゃんは女性同士で昼間からお酒を飲んでいました。またとないチャンスと思い、インタンビューをしました。みんなはビールを飲みながらゆでたエビをキダチトウガラシの調味料につけて食べていました。エビを勧められたが僕はアレルギーで食べれないと断り、その代わりにビールを頂きました。山道を歩いて汗をかいた後だったので、本当にビールがおいしく、ついつい何度もビールを飲み干してしまいました・・・。トウガラシ属の話を聞いていると、一人のおじいさんがその輪に加わってきたので日本語で話しかけてみると、驚くことに流暢に日本語を話しました。


■キダチ自生1(真ん中やや上)

■キダチ自生2(士文村)

■パイワン女性たち1(士文村)

■パイワン女性たち2(士文村)

■パイワン男性(士文村)

■キダチトウガラシの調味料

■宴会1(士文村) ■宴会2(ぱぱっとつまみを用意)



 次の目的地をタクシーの中で決め、その場所の付近で昼ごはんを食べました。お店で古い集落がまだあるかどうかを聞き、ある、とのことなのでそこへ向かいました。一時間くらいかかる、と言われましたが、地図を見てみるとどう考えてもそんなにかからないはず。適当なことをいう店員さんだ、と思いつつそこへ向かいました。途中で道が分かれていたりして迷いそうだったので人に行き方を聞きました。するとその人はここからまだ30分くらいかかる、といいます。もう着く頃だろうと思っていたので、非常に驚き、またでたらめか?どういうことだ?と道を進めました。すると徐々に道が狭くなり、ついには道が舗装されていない砂利道に!がたがたゆらゆら。時には転がっている石にタクシーの腹がガツンとこする。こちらとしては車は埃まみれになるし、車体は石にこするし、本当に運転手さんに申し訳なかったです。運転手も運転手で、途中から半ばやけくそ気味で車を運転していました。途中でタロイモを栽培している畑(ところどころピーナッツと混植)があり民家があったので寄ってみましたが不在。仕方なく進むともう一軒ありました。しかしそこも不在。ここが集落か?と思い、人がいないし引き返そうと思っているとバイクが一台通りかかりました。ビンロウを噛んだあとか口を真っ赤にしたお兄さんに集落について聞いてみると3〜4km先に集落があると言います。それなら行こう、ということで道をすすめるとやっぱりがたがた道。今までよりも一段とひどく、本当に集落まで無事に着けるだろうかという不安を感じるほどでした。ただ景色はよく、またこんな山奥にはどのような集落があるのだろうか、と内心わくわくしていました。まだか、まだか、といっているとやっとパッと視界が開けました。着いた!そこは何と石だけで作った家が大半をしめる集落旧七佳村(石板家部落、丁度いまから観光地化されようとしているところらしい)でした。まず酒を飲んでいる集団にトウガラシ属の情報を聞きました。小さな集落の中を歩いていると、家のホームガーデンにキダチトウガラシを発見。早速その家を訪れインタビューを開始しました。ここのお兄さんはかなりキダチトウガラシについて正確な情報を持っており、的確に様々なことを認識していました。いろいろな話を聞いた後、キダチトウガラシの観察をしました。そこにはキマメも一緒に植えられていました。その後、少し山を登り散策していると、あちこちにキダチトウガラシの自生を見かけます。林の周縁部、雑草が生えているところ、山道の道の中、様々なところにキダチトウガラシが自生していました。

■途中の畑(タロイモとピーナッツ)

■左の写真アップ

■途中の景色

■旧七佳村入り口

■旧七佳村の景色1

■旧七佳村の景色2

■旧七佳村の家屋

■旧七佳村の家屋の飾り

■パイワン男性(旧七佳村)

■パイワン親子(旧七佳村)


■キマメとキダチトウガラシの庭畑

■キマメの花(上)と果実(下)

■キダチトウガラシ(旧七佳村)

■左のアップ(旧七佳村)


■キダチトウガラシ自生街道 ■キダチの自生(旧七佳村)



・台東県太麻里郷、台東県金峰郷(パイワン・ルカイ)
 朝7時に起きて太麻里の町へご飯を食べに出かけました。ホテルのすぐ隣の朝ごはん屋さん。机の上にキダチトウガラシの蒸留酒漬けがあり、またお店の人々が原住民に見えたので質問してみました。するとお店のおばちゃんはピューマの人でした。朝ごはんを終え、まず金峰郷の嘉蘭村へ向かいました。車の中でタクシーの運転手のお兄さん(パイワン)に少しインタビューをしました。20分もいかないうちに現地へ着きました。早速歩いてみるが、今日は日曜日だった!みんな教会にいるようです。うーどうしよう。とりあえずあるいて人を探してみると、お店にパイワンのおじさんがいたのでインタビュー。そしてキダチトウガラシを見たい、というとバイクで案内してくれる、とのこと。10分ほど車で走るとその場所に着きました。観光客用に原住民の利用している植物の植物園を作ろうとしているらしい。しかし管理ができておらず、ほとんどの植物が枯れていました・・・。そんな中、キダチトウガラシは植物園内になく、外にありました。自生しているらしいです(ほんとかな?植物園と同じように札が立っていました)。おじさんの祖先は昔はもっと山の奥に住んでいて、そこからこの植物園の場所に移動してきて、いまではもう少し平地側の嘉蘭村に住んでいる、とのことでした。もう少し違う村でキダチトウガラシを見たいと言ったら、今度はおじさんの義理の両親の家へ案内してくれました。そこにキダチトウガラシがあったので観察。義理のお父さんさんが現れたのでインタビュー。キダチトウガラシの冷製スープの実演(水とキダチトウガラシと塩と味の素とニンニク)をしてくれました。もしあれば野生のトマトも加えてもいいそうです。

■朝ご飯屋さんのキダチの調味料

■パイワンの親子(嘉蘭村)


■キダチトウガラシ(嘉蘭村)

■名札(上)と果実(下)(嘉蘭村)

■嘉蘭村から少し行ったとこの風景

■運転手(左)とおじさん(右)

■キダチトウガラシ(嘉蘭村)

■左の果実(嘉蘭村)

■キダチの冷製スープ(嘉蘭村) ■販売用のキダチの調味料



 次に、この村の中でもルカイが住んでいるところへ行きました。アバイ(アワモチ)を元気なおばあちゃん4人で作っていたので、見学させてもらいました。ゲットウの葉に何枚かルリホウヅキの葉をならべ、そこにアワを長方形に延ばし、豚肉を真ん中に一直線において、包む。ついでに、そこにいたルカイのおじいさんにキダチトウガラシについてインタビューしました。いろいろと話を聞いていると、アワモチをかまでゆではじめました。そのかまどのそばには小屋があり、そこには4種類のアワ(3つがモチ性、1つがウルチ性)と2種類のソルガムがありました。キダチトウガラシを見たいといったら、おじいさんが畑にあるから行くか?と聞くので、行く、と即答し見に行きました。そこには若い株がいくつかありましたが水ストレスにかかって萎れていました。最近雨が降っていなくて水がないようです。もう少し奥へ行くと、果実をつけているキダチトウガラシ(沖縄似)がありました。家へ帰るとアバイができており、おばちゃんたちが食べていました。そこで僕たちもアバイを頂き、昼食としました。出来立ては暖かくておいしい!!!みんな少しだけ日本語を話せます。みなさんの優しさを感じる、フィールドワークの至福の時でした。しばし堪能。いつの間にか一時半になっていたので、お別れを告げ、次の村である正興村へ向かいました。

■嘉蘭村の風景

■嘉蘭村の子供たち

■アバイを作るルカイの女性たち

■アワの粉を練ったもの

■ゲットウ、ルリホウヅキで包む

■アバイを鍋に入れて

■アバイを蒸す

■アバイを並べる

■アバイを食べる

■ルカイの人々(嘉蘭村)

■嘉蘭村の畑の風景

■しおれたキダチトウガラシ

■キダチトウガラシ1(嘉蘭村) ■花壇に植えられたキダチ(嘉蘭村)



 正興村の中で車を走らせ、愛玉(Ficus awkeotsang、クワ科、ゼリーを作る)を加工している人の家でインタビューしました。早速パイワンのお兄さんにインタビューをします。次にそばにいたルカイのおじさんとタロコのおばあちゃんにもインタビュー。なんと日本語を結構理解し、話すことができました。次は新興村。結構近い場所にありました。町を歩き回ってもほとんど人がいません。たまたま玄関で酒を飲んでいる二人のパイワンの男性に話を聞きました。少し話をしていると、人が集まってきました。ここで宴会がはじまるらしい。そこでおいとまをしてまた歩く。商店の前でビールを飲んでいるグループに出会いました。のどが渇いたので、飲み物を飲みがてらキダチトウガラシの話をしてみると、店に蒸留酒に漬けたキダチトウガラシが置いてありました。そこでパイワンのおじさんにインタビュー。ビールを二本ほど飲ませていただきました(しかもただで)。なかなかおもしろいおじさんで、鼻の穴がめっちゃでかく、木梨憲武の仮面ノリダーそのものでした。

■愛玉乾燥中(正興村)

■愛玉アップ(正興村)


■家族で作業1(正興村)

■家族で作業2(正興村)

■新興村の風景1

■新興村の風景2

■店で売られるキダチ蒸留酒漬け ■パイワンのおじさんたち(新興村)



・台東県達仁郷(パイワン)
 今日は達仁郷を調査します。大武から海沿いの道9号線を北へくねくねといき、西へ入り、まず初めの村である台坂へ向かいました。村の奥でタクシーを止めていつものように歩きます。するとキダチトウガラシが畑に植えられていたので、その畑の前に住んでいるおばあちゃんにインタビューしました。少し村を下ると、朝からお酒を飲んでいるグループがおり、おばあさんにインタビュー。少し日本語が話せたので会話が弾みました。そこにいたおにいちゃんがキダチトウガラシが自分の畑にあるというので、そこへ連れて行ってもらいました。また、近くの斜面に黄緑色のキダチトウガラシが植えられていました。グループへ挨拶しにいくと、おじさん二人が増えており、なんやかんやでビールを三杯飲まされました。朝から気分がいい。飲まされついでに日本語の通じる一人のおじさんに日本語でインタビューしました。そこのグループにいたおじさんの一人が、頭目の娘さんと結婚した人だったので、頭目を紹介され、頭目の家へ向かいました。すると頭目は非常に流暢な日本語を話します。50年ぶりくらいに日本人と会ったらしいのに。日本語自体はお酒の席とかでときどき年寄り同士で話すらしいです。この部落の来歴や、古い民族資料を持っている頭目でした。カンランのお酒(オリーブかな?)やその蒸留酒、ビンロウ、水などいろいろ出してくれます。トウガラシ属のインタビューをしながら、すぐに話が脱線します。アワの脱穀の仕方、昔の荷物の運び方や民具などいろいろと話してくれました。頭目の奥さん、妹などが実演までしてくれました。そのうち頭目の弟がやってきました。弟の方がもっと日本語が話せます!二人で日本の歌を歌いはじめ、明治時代の天皇の勅旨を暗唱したり、小学校に書かれていた文句を暗唱したり、君が代を斉唱したり、非常におもしろく、非常にあたたかく、楽しい時間を過ごしました。その後、頭目の畑へタクシーで行き、キダチトウガラシを観察させていただきました。※台坂の頭目の一言に歴史の重みがありました。「日本時代、いい思い出もあれば、悪い思い出もある(日本語で)」とにこにこしながら話していました※

■台坂の風景1

■台坂の風景2

■畑のキダチトウガラシ(台坂)

■左の果実(台坂)

■パイワン女性(台坂)

■パイワンの宴会(台坂)

■お酒の肴(台坂)

■左に加えるキダチの調味料

■畑のキダチトウガラシ2(台坂)

■左の果実(台坂)

■畑のキダチトウガラシ3(台坂)

■左の果実(台坂)

■パイワンの子供(台坂)

■パイワンの頭目家族(台坂)

■頭目の証明書(明治時代日本)

■家のかざり(台坂)

■荷物の運び方の実演(台坂)

■アワの脱穀の実演(台坂)

■頭目の畑のキダチトウガラシ ■左の果実(台坂)



 次は土坂村へ向かいました。すでに12時半だったので土坂についたらまず昼食を取りました。昼食後、調査を再開。ご飯屋の近くの商店でキダチトウガラシの瓶詰め(一本100元)を売っていたので、そこのおばあさんにインタビュー。その店で頭目を二人紹介されたが、行ってみると二人とも不在。というか人が本当に少ないかったです。暑い太陽が照りつける中、インタビューに適した人をさがします。すると村のはずれの畑にキダチトウガラシが植えられており、そこの家主が丁度昼寝から起きたところだったのでインタビューをしました。そこではキダチトウガラシを観察させてもらうと同時に、キダチトウガラシの冷製スープを飲ませてもらいました。水、キダチトウガラシをつぶしたもの、塩、味の素。辛かったが、暑くて疲れていた体がしゃきっとしました。昔農作業のときによく飲んだ、という話をこれまでに何回か聞いたことはありましたが、実物を見たことがなかったのでうれしかったです。その後、街中をぶらつくが本当に人がいません。少し坂を登ったところにおじいさんがいたのでインタビュー。少しするとその人より年寄り(お姉さんの旦那さん)が現れたのでインタビューしました。

■土坂の風景1

■土坂の風景2

■お店のパイワンのおばちゃん

■店頭にあったキダチの調味料


■敷地内のキダチトウガラシの自生

■左の果実(上)と冷製スープ(下)

■パイワンの男性(土坂) ■パイワンの男性たち(土坂)



 時間3時を超えたので、今日最後の調査村である新化へ向かいました。そこは第一部落と第二部落があったので、少し山側に入った第二部落から調査をしました。雨が降り始めます。おばさんがいたので雨宿がてらインタビューをしました。そこには黄緑色のキダチトウガラシが植えてあったので観察させていただきました。おばさんは山から採ってきたサルノコシカケのようなキノコを干していたらしく、雨が降ってきたので慌てて軒先に入れていました。お礼を言って、次の第一部落へ向かいました。そこではお年寄りのおじさん二人が話をしていたので早速インタビューしました。そうすると二人とも非常に日本語がうまかったです。インタビューがはかどる。おじさんのお姉さんが自分の息子(村長)の庭にキダチトウガラシがあるというのでそこへ向かいました。村長は木材を加工して原住民っぽい像や工芸品を作る人でした。結構すごい作品がいっぱいありました。

■新化第二部落景色

■パイワン女性(新化第二)

■畑のキダチトウガラシ(新化第二)

■左の果実(新化第二)

■キダチの調味料(新化第二)

■新化第一の風景

■キダチトウガラシ(新化第一)

■左の果実(新化第一)

■パイワンの村長さん(新化第一) ■パイワンの方々(新化第一)



・屏東県牡丹郷(パイワン)
 今日は朝7時40分に大武から牡丹郷を目指します。途中の道で見晴らしがいいところで止まってもらうと、蘭嶼島が見えました。かなり南へやってきました。湿気の多い、ジャングルとまではいえないが、じめじめした森林の匂いがする道をいきます。すがすがしい。8時45分に牡丹の中部落に着き、調査を開始。おばあさんが洗濯板を使って服を洗っていたので、声をかけてみました。結構日本語ができるし、質問を受け入れてくれたので、インタビューしました。その後、そのおばあさんの弟が来たので、弟にもインタビュー。頭目(家系)らしい。その人も日本語が達者でした。今日は「父の日」の祭りがあるようで、颯爽とバイクに乗って去っていきました。車を進めて牡丹の下部落へ。ぶらぶら歩いていると黄緑色のキダチトウガラシを発見。その畑の前の家におばちゃんがいたのでインタビューしました。なかなか親切なおばさんで、小さいキダチトウガラシが見たい、と言うと、自分の畑にあるから行こう、といってくれました。車でおばちゃんの畑へ行ってみると、みごとなキダチトウガラシがありました。非常に美しい樹形。写真も撮らず見惚れていました。おばちゃんはアヒルの池、オオタニワタリの畑、カボチャの畑などをもっていました。オオタニワタリは普通一斤70〜80元で、いいときで100元、悪いときで50元らしいです。畑の小屋ではサトイモの茎、ズイキを干しており、これは生の豚肉やタロイモの乾燥の粉、塩などを入れて発酵させると言っていました。おばさんを村へ送り、今日は祭りなのでポーリータを買ってさしあげました。おばちゃんが祭りに行くというので、僕らも一緒に向かいました。会場は盛りあがっており、あちこちから何かを焼いているいい匂いがします。会場で、先ほどのおばちゃんに紹介してもらったおじいさんにインタビューしました。日本語が上手でインタビューしやすかったです。その後その祭りの宴会に参加しました。村の列ごと(通りごと、鄰(りん)ごと)にグループとなって、じゃんけんゲームをしていました。豚肉の焼いたもの、飛鼠という動物の内臓スープ、カタツムリ、サツマイモ入りご飯などを頂きました。いざ次の集落へ向かおうとするとおじいさんが「またビールを頼んだから、これを飲んでから帰りなさい」といいます。まあ致し方ない。腹をくくろう。なんとかみんなでビールを飲んで12時半ぐらいのそこを出ました。

■牡丹郷へ行く途中の景色(内陸)

■牡丹郷へ行く途中の景色(海)

■牡丹中部落の景色

■パイワンの方々(牡丹中部落)

■牡丹下部落の景色

■ホームガーデンのキダチ

■右上の果実(牡丹下部落)

■自家製キダチ調味料(下部落)

■パイワンのおばちゃんとキダチ

■左の果実

■オオタニワタリの畑

■ズイキを乾燥中

■パイワン男性(牡丹下部落)

■祭りの様子(牡丹下部落)

■焼肉とキダチ調味料(下部落) ■カタツムリ(下部落)



 次は旭海村。まず下の部落へ行きました。海沿いです。気持ちがいい。ぶらぶらしているとキダチトウガラシがありました。緑と黄緑タイプの両方。もう少しぶらぶらすると居眠りをしかけているおばちゃんがいたのでインタビューをしましたもう少し海沿いに行くとお店でおばあちゃん二人がビンロウを作っていたのでインタビューさせてもらいました。その後少し山側へタクシーで登り、上部落を調査。歩いていると早速顔の濃い見るからにパイワンぽいおばさんがいたので、そのお母さんとともにインタビューしました。少し歩いてまた別のおばちゃんを発見したのでインタビュー。

■旭海村遠望

■旭海村の景色

■畑のキダチトウガラシ(旭海村)

■緑タイプ

■黄緑タイプ

■鳥についばまれた跡

■パイワン女性(旭海村)

■お店のパイワン女性たち

■お店で売られていたキダチ

■旭海村(少し海岸から離れた)

■パイワン女性たち(旭海村)

■自家製キダチ調味料(旭海村)

■パイワン女性(旭海村) ■販売目的でキダチを漬ける



 次にタクシーで道を引き返し、東源村へ行きます。3時半を超えていたので足早に人を探しました。おばちゃん連中が集まっていたので早速インタビューをしました。その中の一人が今日収穫したキダチトウガラシの小さいのがあるといって持ってきてくれました。少し歩くとキダチトウガラシの畑があったので、収穫したオオタニワタリをまとめる作業をしている人たちに断りを入れて観察させてもらいました。もう少し歩いてみると、おじさんとおばさんが酒を飲んでいたのでインタビュー。そこでは米酒を飲んでおり、少しお付き合い。

■東源村の風景

■パイワン夫妻(東源村)

■パイワン姉妹とキダチ(東源村)

■持ってきてくれたキダチ(東源村)

■オオタニワタリの出荷前の畑

■畑のキダチトウガラシ(東源村)

■左の果実(東源村) ■ゆったりと一杯(東源村)



 今日最後の調査村である獅子郷内文へ向かいます。村へ入ると四〜五人が酒を飲んでいました。その内の一人の女性は村長の奥さんで、気分よく酔っておりよく笑っていました。笑い上戸かもしれない・・・。そのグループがいたそばに大型のキダチトウガラシがあったので観察。薄暗くなりかけた村を行くと、おばあさんがいたので話しかけると、なんと80歳。これはまたとないチャンスと思い、歩きながら話を聞き、おばあちゃんの家でインタビューをしました。また、おばあちゃんの隣の家の植え込みに小型のキダチトウガラシがあったので観察しました。今日行った集落は小型のキダチトウガラシが目立ちました。なんでだ?

■内文村の風景

■パイワンの方々(内文村)

■道端に自生のキダチ(内文村)

■左の果実(内文村)

■パイワンの女性(内文村)

■パイワンおばあちゃんとキダチ

■右上の果実(内文村) ■大武での晩御飯(おつかれー)



・屏東県獅子郷(パイワン)
 今日は7時半過ぎに出発して獅子郷の調査です。まず大武の少し南に位置する安朔へ行きました。朝が早いためか人が少なかったです。今日は日曜日のため、逆に朝早くからみんな教会へ行って少ないのかもしれません。ぶらぶらしているとおばあさんがいたのでインタビューしました。またぶらぶらしていると老夫婦がいたのでインタビューをしていると、教会へ行く途中の80歳のおばあさんが僕らに近寄ってきたのでその人にもインタビューしました。その後、家の庭に黄緑色のキダチトウガラシがあったので観察。その家のおばあちゃんが山の畑から取ってきて、家で干してあった小型のキダチトウガラシも見せていただきました。次の村を目指そうかと思っていると、帰り道にもう一人おばあちゃんがいたのでインタビュー。日本語が結構話せる人で、ひさびさに日本人に会って話をできたと喜んでくれました。

■安朔村の風景1

■安朔村の風景2

■パイワン女性1(安朔)

■パイワン夫妻(安朔)

■ホームガーデンのキダチ(安朔)

■左の果実(安朔)

■他の調味料とともにキダチ ■パイワン女性2(安朔)



 次の草埔へ向かいます。東へ進路をとり、川沿いをくねくねと峠をおります。村へ行くとやはり人が少ない。40代のおじさんがどこかへ出かけようとしていましたが、話しかけると快くインタビューに応じてくれました。近くでおじさんの親戚が朝からお酒を飲んでおり、ちょっかいをかけてきます。おじさんに年寄りはいないですか?と尋ねると向こうへ行ってみるといいというので向かいました。教えられた場所へ向かう途中、朝から商店でお酒を飲んでいるグループがいたのでに話しかけました。その家の植え込みに小型のキダチトウガラシがあったので観察させてもらいました。お酒を飲んでいたグループの一人のおばちゃんが自分のおかあさんがいるからインタビューをするといい、といって連れて行ってくれたが、おばあさんは寝たきりで体調が悪そうで、インタビューするのは難しいなと思っていると、だんなさんが教会から丁度帰ってきたのでおじいさんにインタビューしました。日本語が結構話せる。やはり75歳以上、とくに80歳近い人たちはかなり日本語が話せます。

■草埔村入り口

■草埔村の風景

■パイワン男性1(草埔村)

■枯れたキダチトウガラシ三株

■プランターのキダチトウガラシ

■左の果実(草埔村)

■パイワン集団(草埔村) ■パイワン男性(草埔村)



 次は伊丹。明らかによっぱらったおじさんとしらふのおばあさんがいたので、少し心配をしつつインタビューしました。おじさんはいろいろちゃちゃを入れようとしますが、酔っ払いすぎてあんまりインタビューに支障はありませんでした。そのあと、村を歩いてお年寄りを探すことにしました。そのときある家の敷地にキダチトウガラシの自生っぽいのがありました。家の人を訪ねてもいなかったので勝手に観察させていただきました。その後、村の奥へ行くとおばあさんがいたのでインタビュー。そのおばあさんは日本語はとても上手でした。「上手だったから、昔(日本統治時代)日本人に一度もたたかれなかった、一度もたたかれなかった」とジャスチャーつきで教えてくれました。複雑な気持ちだ・・・。日本人はよくなぐっていたということか・・・。ただおばあちゃんは日本人に会えたことがとてもうれしいようで、今夜は夢にあんたがでてくるよ、と言ってくれました。おばあちゃんの畑にはキダチトウガラシがありませんでしたが、隣の畑にあったので黄緑色のキダチトウガラシを観察。

■伊丹村の風景

■パイワン男女(伊丹村)

■キダチトウガラシ自生(真ん中)

■左の果実(伊丹村)

■パイワン女性たち(伊丹村)

■下の写真の果実(伊丹村)

■枯れかけのキダチ伊丹村) ■ホームガーデンのキダチ(伊丹村)



 次の丹路村では、お腹がすいたので昼飯にしようかと思ったのですが、ご飯を食べるところがなかったので、ご飯はあとにして調査をすることにしました。年寄りが見当たらないので、おじさんにインタビューしました。そのおじさんのおとうさんが90歳を越えているらしく、そこへ案内してもらいました。残念なことに耳が遠くてインタビューできませんでした。たぶん日本語ができるのでしょうがインタビューが無理なので、おじいさんの息子さんにお話を聞きました。さすがにおなかがすいてきたので、楓港までいってお昼ごはんを食べました。

■丹路村の風景1

■丹路村の風景2(筍乾燥中)

■パイワン男性(丹路村) ■パイワンの家族(丹路村)



 今日最後の調査地である楓林(獅子)で調査を開始。一番奥までいってタクシーを降りるとおじさんとおばさんが何か作業をしていたので話を聞きました。畑にキダチトウガラシがあるというので見せてもらいました。山に自生しているものを引っこ抜いてきて植えたらしいです。おばさんに年寄りはいないか?と聞くと、子供が知り合いのところへ案内してくれました。74歳と72歳の姉妹がいたのでインタビュー。いままで気になっていたラポ(干したサトイモを粉々にしたものに、キダチトウガラシ、塩、水をいれた保存食)を実際に見ることができました。飲んでみるとゴマのような香ばしい香りが鼻に抜け、キダチトウガラシの辛さ、塩っ辛さが舌をしびれさせました。ゆっくりとお話を聞いた後、ぶらぶらと村を歩きます。すると商店のカウンターにおばあちゃんが座っていたのでインタビューをしました。そうしていると亡くなっただんなさんの弟がやってきたのでその人にもインタビュー。かなり暑く、あんまり外で歩き回りたくないなー、と正直だれていたので、いいところへやってきてくれたものです。インタビューした後、少し村を下るとかき氷屋さんがあり、店のおじいさんにインタビューをしました。既に五時をまわり、屏東へのバスの時刻が近づいていたので調査を終え、タクシーで楓港へ行き、タクシーの運転手とわかれ、バスを待ちました。海に近いため肌がべとべとします。屋台の焼き物のいい匂いが食欲をそそりお腹が鳴ります。5時40分の予定が6時過ぎにバスがきました。次の停留所では、草埔で朝お酒を飲んでいたおばさんが、かなり酒臭い状態で乗り込んできました。枋寮に家があるようです。左手に海を眺めつつ北上。オレンジ色の夕日が沈む。旅が終わった。感慨深い。心地よい疲れがどっとでる。いつもなら畑に何があるか、風景でおもしろいものはないか、と探し回りますが、頭がぼーっとして何も考えられません。ボーっ。ボーっ。コテ。いつの間にやらうつらうつらしていました。

■楓林の風景1

■楓林の風景2

■パイワン家族(楓林)

■キダチを見せるため除草中

■畑のキダチトウガラシ(楓林)

■左の果実(楓林)


■ラポ(タロイモ乾燥粉・キダチ等)

■案内人の子供(上)とみんな(下)

■パイワン姉妹(楓林)

■パイワン集団(楓林)

■乾燥タロイモの粉を使った保存食

■パイワン男女(楓林)

■カキ氷屋さんにて(楓林) ■カキ氷を食べるパイワン子供



☆南部に住む台湾原住民のトウガラシ属・ショウガ・山胡椒のまとめ
 パイワンのトウガラシ属の呼称はルカイやプユマと同じく、トウガラシ属の呼称はショウガとは違い、特別な名前がありました。山胡椒についてはその存在すら知らない人が多かったです。パイワンとルカイ・プユマのトウガラシ属の一般名は似ていました。また、トウガラシ属の一般名とは別に、キダチトウガラシ(小辣椒)に特別な呼び名が与えられていました。それも地域によって「likalik」「kalyatiyang」「kulintaw」などと違っていました(トウガラシの一般名やショウガの呼称は共通しているのにも関わらず)。また、一部では「sili」「sini」とトウガラシ属のことを呼んでおり、バタン諸島とのつながりを感じました(バタン諸島編はここへ)。キダチトウガラシは栽培しているのか、ほったらかしなのか、非常に微妙な状態で、あちこちに自生個体もありました。いわゆる半栽培状態なのでしょう。

(台湾原住民すべてのまとめはここへ

☆ルカイ・プユマ・パイワンの呼称のまとめ☆




(Reference)
山本宗立 2006. 台湾原住民が利用するキダチトウガラシ. 日本熱帯生態学会ニューズレター 65: 1-7.
Sota Yamamoto 2006. Capsicum frutescens L. used by indigenous peoples in Taiwan. Tropical Ecology Letters 65: 1-7.


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